土壌汚染対策法施行後一年が経過して

(社)土壌環境センター 専務理事  佐藤 雄也

  本年2月には、土壌汚染対策法(以下、「土壌法」という)の施行一周年を迎えました。土壌法施行が土壌汚染対策の進展にとってどの程度効果を発揮したのか、われわれにとって大変関心のあるところであります。

1.土壌法の施行状況
 (1) 3条調査
  環境省が集計した土壌法が施行されて1年が経過した平成16年2月15日現在の施行状況によると、土壌法施行後1年で、使用が廃止された有害物質使用特定施設数は528件であります。その内、都道府県知事の確認により調査が猶予されたものが330件、土地所有者が調査猶予の確認手続中のものが65件であります。すなわち、土地所有者が3条調査を先送りする、あるいは先送りしようとする事例が全体528件中395件と3/4を占めています。
  3条調査の先送りは、汚染の拡がらない内に土壌汚染の早期発見、早期対策を実施することで対策コストの縮減をもたらす折角の機会をみすみす失うことにもなりかねません。3条調査の先送り現象については、どのような理由によるものなのか注目していきたいと思います。

 (2) 4条調査
  4条調査の命令は、都道府県知事に判断が委ねられており、抜かずの宝刀とも思われていましたが、すでに3件の命令が出て、決してそうともかぎらないことを証明したかたちになりました。

 (3) 指定区域
  3条調査の結果、基準に適合しない汚染が認められ指定区域として指定された件数は4件であります。4条調査の結果、指定区域に指定されたもの1件、指定の手続き中のものが1件であります。
  また、指定区域に指定されたが、汚染物質を掘削除去した結果、指定区域の指定を解除されたものが1件であります。
  指定区域の場所、汚染状況については、地元都道府県の環境担当部局に行けば誰でも見られることになっています。情報開示の進展に伴い、土壌汚染に関する報道のされかたにも変化がみられます。たとえば、指定区域が今何件あるのか分からないほど、ニュースにならなくなっていることは、注目に値します。これは、汚染土壌が発見されても周辺住民が安心するような対応がなされるかどうか必ずしも分からなかった土壌法施行以前とは異なり、土壌法の施行により土壌汚染が発見されても指定区域に指定されれば必ず法に基づき対策がとられることになった変化を反映しているものと思われます。

2.自主的取り組みの推進
  操業中の工場敷地または遊休地については自主的に調査し、土壌汚染の早期発見、早期対策を行うことは、対策費用の縮減のみならず減損会計の導入が予定される中、自社敷地の資産価値の保全を図るうえで極めて重要になってきております。
  土壌法施行の波及効果として指定区域はキズものという先入観から土地所有者が解放されて、法的に対策済みの土地になるという認識が浸透していくことが、土壌汚染対策の推進にとって不可欠であります。